誰でも一度は経験のある足の「捻挫」
多くの人は、冷やしてガチガチに固定をされたような経験があるのでは?
まずは「捻挫」について詳しく解説していきます。
捻挫の症状
捻挫とは関節に限界を超えた動きが強制され、関節の動きを支持している靭帯や関節包が損傷することをいいます。
足首の捻挫のほとんどは、足首を内側に捻ることで起こります。
それを「内反捻挫」といいます。

※画像引用
このとき最も損傷が起きやすい靭帯が、足首の外側にある「前距腓靭帯」です。
捻挫は損傷のレベルによって3段階に分けられます。
・1度損傷 靭帯や関節包の微小な損傷
→すこし捻ったような状態。痛みもそれほどひどくはなく、ほとんどの場合歩行は可能。
・2度損傷 靭帯の部分的な断裂が起きている状態
→腫れや軽度の皮下出血が見られる。痛みが強く、通常はこのレベル以上の損傷で固定をすることが多い。
・3度損傷 靭帯が完全に断裂している状態
→腫れ、皮下出血、熱感などが現れ、歩行困難なことが多い。スポーツなどの場合、復帰まで数か月間かかることもありギプスや装具などで固定となる。
多くの場合、2度以上の損傷(靭帯の部分的な断裂)があると
とにかく冷やして固定というのが
一般的なのですが……..
その冷やして固定するという処置が
・治りを遅くしている
・むしろ悪化させる
・足首以外の問題の原因になる
という可能性があります。
なぜ治りが遅くなったり悪化する?
まず捻挫をして冷やすことで、どの様な効果があるのか説明します。
捻挫が起こり周囲の組織が損傷してしまうと、損傷が起きた場所に血液が流れ込みます。同時に痛みを引き起こす物質(ブラジキニン、ヒスタミン、プロスタグランジン等)が作られます。この反応を炎症と言います。
捻挫をした足首を冷やすと、血管が収縮して血液が流れにくくなるため、炎症の反応を抑えて痛みを軽減させるという効果があるのです。
問題は冷やす時間の長さ
冷やして血管を収縮させることで、炎症をおさえることはできるのですが人間の体には傷ついた部分を修復させる効果をもつ物質があり、その物質も血液によって運ばれます。ですからいつまでも冷やした状態のままにしておくと、今度は治すための物質が怪我をしている場所に届かず結果的に治りを遅くしてしまっているのです。
冷やす時間は、症状のレベルにもよりますが最初の15分で十分です。
そのあとは、どんどん温めてください!
必要以上に強い固定により、血流が悪くなり筋肉の固さにつながり痛みが増強してしまうこともあります。
固定は必要最低限のものが理想的です。長期間の固定により、固定を外した際の問題が大きく出る場合があります。
最悪の場合、関節が拘縮して全く動かない!なんてことも….
足首以外の問題につながる可能性
足首を捻ってしまい、その部分を包帯などでがっちり固定するとします。
するとどんなことが起こるのか
一つの例として紹介します。
この画像は筋肉のつながりを表す「アナトミートレイン」という人体図です。
この図では
足首~骨盤 骨盤~腹筋を通って首までのつながりがわかります。
この場合、右の足首が固定されると下の図の様な引っ張りの力が生じてしまいます。
体全体が、右側の方に引っ張られるようなイメージです。
こうなると人間の体はこの傾きを補正するために、いろんな部位で力を使うことになります。このためバランスが崩れ体の歪みをはじめとする問題が発生するのです。
足首の怪我や長期間の固定が、体の不調につながることは少なくありません。
痛みの原因をたどっていき、最終的な原因が過去の足首の捻挫だった。という事もあります。
私自身も高校時代に重度の足首捻挫をした経験がありました。
当時いろんな接骨院に通い、長期間のアイシングと固定を行っていました。
この時はギプスによる固定で、1~2ヶ月の固定をしてひたすら電気と足を冷やす治療をしていた記憶があります。
一番印象的なのは、少し冗談の様な例えになりますが
ギプスを外した足が生まれたての小鹿の様な感覚でした。
足の太さも半分ほどまで筋肉が弱体化しており、普通に歩けるようになるまでかなりの時間がかかったことを覚えています。
この時ひどい腰の痛みが出ましたが、今思うと足からの影響がかなり強かったと思います。
10年ほど経過した今もバランスが完全ではない状態で、あの時適切な処置を受けていればと後悔の思いもあります。
まとめ!
必ずしも
捻挫=冷やして、固定ではない
ということ。
症状を見極めたうえで、動かせる筋肉は動かしていくことが大切です。
固定についても最小限で、損傷のある筋肉をサポートする程度のもので十分な場合があります。
多くの接骨院などでは、捻挫の処置に「RICE」というものがあります。
・安静(Rest)
・冷却(Icing)
・圧迫(Compresion)
・挙上(Elevation)
この処置が基本になり、マニュアル化されているようなところもあります。
こうなると
とにかく安静にして、冷やして、固定で圧迫して心臓より高くして治す。
という流れになってしまいます。
一昔前は、「捻挫は必ず冷やして固定」
というのが常識でしたが、よく状態を把握すると必ずしもそうではないと言うことです。
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