今回は肩が痛い、上がらないなど辛い肩の症状にお困りのあなたに読んでいただきたい内容です。
「五十肩」という症状を聞いたことはありますか?
先日、70代の患者さんがこの症状で来院されたときに
「70歳だから七十肩か?」
とおっしゃっていましたが
正確にはこの症状は
「肩関節周囲炎」
といって、肩の痛みの総称になります。
よく言われる「四十肩」「五十肩」というのは、このくらいの年代の方に多くみられるためにつけられたものです。
五十肩の主な症状は?
・腕が肩より上にあがらない
・夜中に痛みで眠れない
・手が背中の方まで届かない
・少し動かすだけでずきずき痛む
などがあり、日常生活において大きな支障をきたす症状です。
一般的に原因とされているものは?
・加齢による軟部組織の変性
・肩周囲の筋肉の脆弱化
・オーバーユース(使い過ぎによる筋の炎症)
・肩こり
などが挙げられ、中には原因がはっきりしないものも多くあります。
一般的な原因とされている加齢による変性においては、この症状の好発年齢をみれば十分に考えられます。しかし、必ずしも40~50代の人だけがこの症状にかかるわけではありませんので、他の原因が必ずあるはずです。
では、どんな原因があるのか?
多くの原因は肩甲骨の動きにあった!
肩関節を真横に上げていく動きを(外転) といいます。
この外転の動きは正常であれば、180°(腕が耳につく位置)まで曲げることができます。
この動きを可能にしているのが、
肩甲骨の動きなんです!
通常肩関節は約110°~120°までの動きしかありません。それ以上の角度で曲げるには、肩甲骨のスライドの動きが必要になってきます。
ですから、この肩甲骨の動きが制限されてしまうと肩が上がらなくなってしまい、なおかつ上がらない状態で無理やり動作を繰り返していくうちに炎症につながっていくということです。
肩甲骨のスライドの動きを制限しているのは?
それは「菱形筋」という筋肉です。

菱形筋が緊張することで、内側への引っ張りの力が生じて肩甲骨の動きの制限がかかる
この「菱形筋」は
・大菱形筋
・小菱形筋
のふたつに分けられます。
この筋肉は背中の深層にある筋肉で、宙に浮いている状態の肩甲骨を安定させる役割や、僧帽筋、広背筋の動きをサポートする役割があります。
主な動きは大、小菱形筋ともに肩甲骨を背骨の方に引き寄せる機能があります。
胸を張って背中を伸ばす動作や、柔道の引き寄せの動作に使われるのはこの筋肉です。
まとめると
菱形筋が固くなる
↓
肩甲骨が動かなくなる
↓
肩甲骨が動かないのに無理やり動かす
↓
五十肩などの肩の炎症につながる
というわけです。
菱形筋は姿勢の悪さ、猫背や巻き肩などで負担がかかりやすい場所です。体が内側に丸くなる姿勢でいると、常に菱形筋が緊張している状態になります。
また菱形筋は、肩こりの原因筋としても知られています。肩甲骨の内側の張りを感じている人は多いのではないでしょうか?
しかし、固くなった菱形筋を直接ほぐすような治療では意味はありません。
治療としては
・菱形筋を固くする原因である姿勢の矯正
・菱形筋は肝臓との関連もあるため内臓的な調整
・肩を上げる動きに制限をかける筋を緩める
肩だけの治療ではなく、全身を見ての治療が重要です。
※五十肩の原因が菱形筋だけというわけではなく、数ある原因のうちの一つとして紹介しております。
※夜間痛などの症状がある場合は、神経性の問題が出ている場合や筋肉自体の損傷の可能性もあります。その場合整形外科でレントゲンを撮影し、状態を把握してからの治療になる場合もあります。
最後に
いつか治ると思って放置しないでください!
五十肩の症状でよくこんなことをいう人がいます。
「一年くらい我慢すればなにもしなくてもどうせ治る」
たしかに典型的な五十肩の場合、3つのサイクルで痛みや症状が変わることがあります。
①凍結進行期
初めは肩の違和感から始まり、動作痛や運動の制限が出てくる。徐々に痛みが増強し、夜間痛などの症状も現れる。痛みのピークの時期。
②凍結期
痛みは少しずつ軽快していくが、肩が完全に固まってあらゆる方向に制限が出てくる時期。この段階での来院が多い。
③解凍期
拘縮が緩和され、痛みも緩和され動きも軽くなる時期。
このように、五十肩では一年くらいの経過で症状が軽くなる場合もあるんです。
でもこれ
治ったわけではありません!
痛みを出す根元を治療しなければ、必ずと言っていいほどまた同じ症状が繰り返されます!
決して我慢せずに痛みや違和感があれば、すぐに治療を受けることをおすすめします。
痛みが出ている場合は無理にストレッチや患部を揉んだりせずに、温めることも大切です。
自己判断で症状を軽く見ずに、すこしでも気になることがあればご相談お待ちしております。
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